整体法では体の回復力が弱い人、つまり潜在体力のない人のことを、体が弱い
と考えています。このような人はたいてい、腰に力がありません。いわゆる
「下丹田の力が抜けている」という状態です。
腰に力があるというのは、腰の筋肉が正常に伸び縮みできて、弾力があるとい
うことです。腰に弾力があれば、首にも弾力があって、しっかりしています。
そして、首がしっかりしている人は、集中力もあるのです。
つねに全身を動かして生活していた昔の人の筋肉や骨は、とてもしっかりして
いました。すると当然、内臓も精神力も強くなるので、怪我や病気が少なかっ
たのです。また、病気や怪我をしても、自力で回復する力を持っていました。
それに比べて、私たち現代人は、体を動かすことが減り、適度に力を入れるこ
とも少なくなっています。そのため、筋肉も骨も弱くなり、それに伴って内臓
や精神も弱くなりました。例えば、胃腸が弱いので、ものを食べてもためぐい
ができない、また、栄養の少ないものから栄養を吸収できないし、運動をして
も疲れるだけで、筋肉や骨を強化するどころか、かえって壊してしまう始末で
す。
要するに、体の内に力がないと、いくら外から刺激を与えてもダメなのです。
人間の感受性を利用して、体のリズムを整えることが先決です。
まずは、風邪をひいて熱を出し、熱の力で、体内の同化作用により免疫力を高
めましょう。このことが老廃物を排出し、細胞の活性化へとつながるのです。
また、動くことを惜しまないでください。動くことで食に対しての要求が起
き、その要求に従うことで、消化器の働きが高まります。
また、動く体はよく眠れます。空腹状態で食べ物を求め、おいしく食事をする
からこそ、栄養も吸収されて体力もつくのです。
そのうえで脊柱をゆるめる体操をして、体の中心に力を集めましょう。
脊柱、つまり背骨という体の中心をしっかりさせることは、非常に大切なこと
です。体の歪みは内臓や骨に負担をかけ、体の不調のものになります。しか
し、少々体が歪んでいても、背骨の可動性がよければ歪みを持った状況をカバ
ーしながら、体の中心に力を集めることができるのです。
「脊柱をゆるめる体操」
1.上向きで寝て、手を前からゆっくり上へあげ、両手足で、背骨を思いきり伸ばす。このとき、アキレス腱は伸ばし、かかとを突き出すようにする。
2.背骨を伸ばしきって2、3呼吸耐えたあと、全身の力をポンと抜く。